比内地鶏への思い
わたしたちは、障がいとともに生きる人たちと一緒に汗を流しています。
わたしども「社会福祉法人花輪ふくし会」は昭和40年4月の設立で、以来、さまざまな社会福祉活動を行ってまいりました。この間、国や自治体から、わたしどもに求められる福祉の方針や要請は時代の変化とともに大きく変わり、わたしどもはその都度、誠実に対応してきました。
そして現在、障害者総合支援法が制定され、障がい者が施設の中だけで暮らすのではなく、地域で生活しながら就労できるような支援をすることが求められています。しかし地域で生活するということは、アパート等住む家の家賃を負担するなど、ある程度の生活費が必要となってきます。そのための就労を支援し、給料を得て安定した暮らしができるようにサポートするのも、わたしたちの重要な仕事一つです。
幅広い就労の場を設けるのも私どもの仕事です。
わたしども「花輪ふくし会」の各施設に入所・通所している障がい者はその障がいの程度も実にさまざまで、就労先には向き不向きを含めてきめ細かな対応が求められています。
現在、王国が運営する施設では鹿角市を中心に、稲作、杉苗や花き、シイタケ、キクラゲ、イチゴ、ブルーベリーなどの栽培に関する農作業、ドジョウの養殖や比内地鶏の飼育とその鶏肉を使った食品加工と販売、パンの製造販売など、16業種もの就労の場を設け、多くの障がいとともに生きる人たちが働いております。
各施設の担当職員は施設の利用者(障がい者)の障がいの程度や本人の希望、向き不向きなどを勘案してその職種を決めておりますが、現場での様子を見て変更することももちろんあります。
比内地鶏の飼育から食鳥処理、加工品の製造までの仕事は数ある就労現場の中でも規模が大きく、分業体制が確立されています。そのため一カ所でミスなどにより作業が滞ってしまうと出荷計画が大きく狂ってしまうので、指導する職員も作業する利用者も常に緊張感を持って作業に当たっています。
堂々と肉質で勝負できる比内地鶏です。
鹿角市で生まれ育ったわたしは今まで多くの農家が育てたさまざまな比内地鶏を食べてきましたが、はっきり申しまして、わたしどもの育てた鶏がダントツに美味しいと断言できます。
実際に多くのお客さまから「ふくし会の鶏は今まで食べた比内地鶏よりもランクが上。濃厚な旨みがある」とのお褒めの言葉をいただいております。なぜなら県の指導機関が美味しい比内地鶏を飼育するために定めたきめ細かな飼育マニュアルを厳密に守り、さらにプラスアルファの餌やりと世話をしているからです。
鶏舎の広さや成長に応じた餌の種類、日常の世話などの飼育マニュアルをしっかり守ると美味しい鶏を生産できるということを各飼育農家は理解しているのですが、人手が足りずついつい手を抜いてしまうのが現状だというのです。
わたしどもは職員3人、利用者15人の計18人で年間約2万羽の鶏を飼育していますが、これは夫婦2人で世話をしている一般的な飼育農家の何倍もの人員になります。
鶏の成長を楽しみに愛情を注いで丁寧に世話をする利用者と、それを見守る職員の連携がお客さまを唸らせる「濃厚な旨み」のある比内地鶏を育てているのです。
「障がいとともに生きる人たちが育てた鶏だから…」「買うことが障がいとともに生きる人たちの自立を援助することにつながるのなら…」と王国の比内地鶏と加工品を購入していただくのもありがたいことですが、わたしどもは障がいのある人たちと一緒に育てた鶏であるということは関係なく、肉質と味そのものだけで他の飼育業者さんと勝負しても負けないという自負心を持っております。
王国の職員と利用者が育てた比内地鶏を食べて、「1クラス上の濃厚な旨味と歯ごたえ」を感じていただけたら幸いです。
社会福祉法人花輪ふくし会