花輪ふくし会の比内地鶏への取り組み〈その1〉

王国・比内地鶏物語

花輪ふくし会の比内地鶏への取り組み〈その1〉

まったくゼロからのスタート。専門家のアドバイスに素直に耳を傾けました。
「花輪ふくし会」の一部門である「比内地鶏・地のもん王国」が比内地鶏の飼育に関わるようになったのは平成14年から。
小坂町にある施設の更望園で、障がいのある人たちに癒し効果もあるといわれる生き物の世話をしてもらおうと、約50羽のヒナを導入したのが始まりでした。
当時、更望園には鶏を飼育したことのある職員はおらず、鶏舎の建築や飼育の指導はヒナの購入を世話してくれた大館市にある比内地鶏の専門業者が全て行ってくれました。翌年からは更望園の職員と利用者が主体となり業者のアドバイスを受けながらも、なんとかヒナから親鳥まで育てることに成功しました。


比内地鶏の飼育 食肉になることにショックを受けた利用者も


生き物の世話をして育てるといっても、ペットを飼っているわけではありません。比内地鶏はふ化してから160~180日前後が最も美味しいころといわれ、そのころになると食肉加工の工場へと運ばれ肉となってしまいます。毎日のエサやりや鶏舎の掃除などを通して鶏たちに接してきた利用者たちにとって、鶏たちがカゴに入れられて出荷されていく光景はショッキングなものでしたが、職員の説明を聞き、やがて納得するようになったといいます。


比内地鶏の飼料


自分たちが育てた比内地鶏が食べた人たちから「これ、美味しいね」といっていただけるよう、職員は鶏たちにとってプラスと思えることは全て取り入れてみることにしました。鶏舎にモーツアルトの曲を流して効果を上げているところがあると聞けば、実際に調べてみて「なるほど」と思えた場合は迷わず導入。鶏たちが飲む水にEM活性液を加えるといいと聞けば、担当者から話を聞き、納得したら即導入。飼料に混ぜる生きた乳酸菌もしかり。健康で美味しいといわれる比内地鶏を育てるために、職員も利用者もできることは全て取り入れ、一生懸命に世話をしてきたのです。実際にこんなにコストと手間ひまのかかることをしている養鶏場は他にはありません。

当初、飼育は1年に1回だけでした。春にヒナを入れ、脂の乗った秋には出荷。食肉加工場から戻ってきた比内地鶏の肉は花輪ふくし会の祭りや行事できりたんぽ鍋などにして使われ、評判も上々でした。


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