きりたんぽ鍋

郷土料理きりたんぽ

きりたんぽ鍋

きりたんぽ鍋の材料


かつて、「きりたんぽ鍋」は秋の収穫に感謝する、季節限定、ハレの日のごちそうでした。
現在では1年中食べることのできる「きりたんぽ鍋」ですが、かつては稲刈りの後にその年の収穫を感謝しながら家族や仲間と一緒に食べるハレの日のごちそうで、いつでも食べられるものではありませんでした。


レシピによって具材のバリエーションも豊富


味の決め手は、この日のために春から育てた比内地鶏。脂がのって、その美味しさはピークを迎えます。
春から育てた鶏は、きりたんぽ鍋の季節になると丸々と太って脂も乗ってきます。その鶏をつぶす(解体する)のは男たちの仕事。ダシを取るためのガラ以外はナタや包丁で丹念にたたいて丸めた肉だんごを作ります。
きりたんぽを焼くのは女たちの仕事。きりたんぽを焼いて鶏の処理が終わると準備はほとんど完了。後は好みの具と一緒に煮ながら食べるだけとなります。


こだわりのきりたんぽ鍋


ほどよく煮えた鶏肉や野菜を食べながら酒を飲み、最後にきりたんぽを入れて、ご飯がわりにする。きりたんぽ鍋は鍋一つで完結する、なんとも合理的な鍋料理なのであります。
さて、きりたんぽ鍋の作り方ですが、地域や家庭によってさまざま。味の決め手となるのは、もちろん比内地鶏のガラからとるダシとその肉ですが、他にはササガキゴボウ、マイタケ、ネギ、せり、糸コンニャクなどを入れます。
現在は栽培マイタケが1年中出回り安く手に入るのでそれを用いますが、栽培が成功する以前、天然のマイタケは超高級品でなかなか手に入りませんでした。そこでよく用いられたのがモタシ(ナラタケ)やシメジなどのよくダシの出るキノコ類でした。


きりたんぽと相性抜群なキンタケ キンタケ(金茸):10月頃に出回るキンタケ。新米のきりたんぽとの相性抜群。(写真は森岳産)


作り方や具は各家庭によってさまざま。誰もが我が家の味が一番だと自慢します。
きりたんぽ鍋の発祥の地といわれる鹿角市、きりたんぽ鍋の本場といわれる大館市ではきりたんぽ鍋の作り方にこだわりを持つ家庭も多く、キノコはマイタケではなくダシのでるキンタケ(キシメジ。海沿いの黒松林に生える)やハツタケを入れた方が美味しい。等々さまざまなレシピが存在しているようです。
県北部の鹿角市や大館市で時々耳に入ってくる口角泡を飛ばしてのきりたんぽ談義は、まさに本場ならではのこだわりの会話なのです。


いいダシが出るハツタケ ハツタケ:「※緑色はカビではありません。食べられます。」とPOPに表示されたハツタケ。いいダシが出る。(写真は本荘産)


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「たんぽ貝焼き」って何のこと?

以前、鹿角市や大館市など県北部では「きりたんぽ鍋」のことを「たんぽ貝焼き」と呼ぶお年寄りがけっこういたようです。
秋田ではその昔、大きなホタテ貝の貝殻を小さな鍋の代わりに使っていたことから、小鍋仕立ての鍋料理を「貝焼き(かやき)」と呼んでいました。
豆腐が具のメインになると「豆腐貝焼き」、魚のハタハタを入れると「ハタハタ貝焼き」となり、きりたんぽを入れると「たんぽ貝焼き」になるというわけです。

ハタハタかやき ハタハタかやき


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