初生棟

芳醇な比内地鶏の作り方

初生棟

ヒナたちを育てる温かい鶏舎です。
初生棟とはヒナ専用の鶏舎のこと。わたしたちの仕事はヒナが入ってくる3日ほど前から迎えの準備が始まります。まずは初生棟の掃除を行ない、天敵の野生動物が侵入しないよう金網や電気柵もチェックします。夏場はそうでもないのですが、寒い冬場は2、3日前からヒーターのスイッチをいれ、初生棟の内部を温めておきます。というのも生まれたてのヒナは寒さに弱いからです。


温度管理された初生棟で大切に育てられる比内地鶏のヒナたち。 温度管理された初生棟で大切に育てられるヒナたち。


種鶏場からヒナが届くと、私たちもヒナの健康状態をチェック。これからヒナたちの世話をする利用者たちは「よく来たなあ、早く大きくなれよ」などと声をかけながら暖かい初生棟の中に放してやります。

鹿角苑の初生棟は他の鶏舎より最も道路から離れた場所にあります。というのも、比内鶏の血を引く比内地鶏は親鳥でさえ極めて臆病で神経質。鶏舎のそばに道路があると大型車などが通った場合、その音と振動に驚いて1カ所に集まり、下になった鶏は圧死してしまうことがあります。ヒナたちは親鳥よりさらに物音に敏感なので、限りなく道路から離れた場所に初生棟を建てているというわけです。


ガスブルーダーで快適な環境 天井からぶら下げられたガスブルーダー


初生棟の中央には天井からガスブルーダーという正方形の傘のようなものがぶら下げられており、上部にはガスヒーターが取り付けられています。寒さに弱いヒナたちは気温が下がるとこの下に集まるのですが、適温は人間の胸の高さで36℃~40℃。暑くしすぎると、ヒナたちはからガスブルーダーから遠い建物の四隅に集まり、集まりすぎると下になったヒナは圧死してしまう危険性があります。逆に寒すぎるとヒナたちは温かさを求めてガスブルーダーの下に集中し、これまた圧死の危険性があります。
しかし、いつまでもヌクヌクした快適な環境においていてはひ弱な鶏になってしまうので、成長具合を見ながら温度を1℃ずつ下げ、少しずつ外気に慣らすようにしています。
この重要な温度管理を行うのは職員で、日齢28日までは、日に何度も初生棟に足を運び、ヒナたちの様子や温度計を見ながら微妙な温度調節をしています。


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